初診時の写真を見て頂くと、舌が右後ろに引っ張られ攣れています。これは、噛みあわせのバランスが悪く、右の筋、筋膜の捻じれとそれに伴い、舌骨という舌を安定させる骨のバランスが崩れた為と考えられます。
写真の噛む面に着いている赤い点は、咬合紙というカーボン紙を噛んでもらい印記されたものです。一般的には濃い点が強く当たっていると判断し、噛みあわせに問題がある場合は、これが原因と判断し削る治療をしてしまいます。もし、右の濃い点が、噛みあわせの安定を阻害する問題点だと考え、削る治療をしてしまうと下顎は右奥に益々引き込まれてしまい症状は悪化します。
非常に多いのですが、噛みあわせの治療は削ることが主になり多くの症状を発現させ、悪化させてしまいます。当然のことながら、口は身体の一部です。その為、噛みあわせの変化の反応は身体の他の部分に出ます。私は、後頭部、頚部、肩甲骨の筋肉の反応で噛みあわせの高さが適正かどうか判断しています。今回の患者さんでは、症状、筋肉の反応と、右で厚く噛み応えのあるものを噛んでもらい左の歯が噛んだことから、右がかなり低いと診断しました。
治療としては、上下の噛む面に直接レジンを貼り付けて右の噛みあわせの高さを挙げることを主にしました。左は、下顎が左に戻ろうとしているのを邪魔している当たりを僅かに(数ミクロン)磨いたのみです。初診時と治療3か月後の通称パントモと言われる顎全体を撮ったレントゲン写真を比べてみると、右の高さが高くなり左右のバランスがとれたことがお分かり頂けると思います。
3か月後の写真を見て頂くと舌のつれが消失し、右だけをかなり高くしたにも関わらず咬合紙で強く印記されるのは左であるのがお分かり頂けると思います。
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